タイの麺料理-その14-

「クァィティァォ・トゥン」

「トゥン」は、中国を発祥とする調理用語で、「煮詰める、蒸す」を意味します。「トゥン」は、ヌードルの場合、一般的に言ってアヒル、ガチョウ、ニワトリ、(滅多にありませんが、牛肉、豚肉)を意味し、臼などで碾いた中国スパイス(鶏肉とニガウリを組み合わせた変わりバージョンは、とりわけバンコックのタクシードライバーの間で人気があります)で味付けしたスープの中で柔らかくなるまで煮詰めます。
肉と煮汁は標準的なタイのうどんやライス麺にカップリングされ、「カオ・ラオ」では、ヌードルに代わる一杯のご飯と一緒に添えられます。その他の素材としては、内臓(このケースでは、アヒル、ダック・ブラッドの塊)、モヤシ、緑色野菜(中国ケールか空心菜)があります。
料理には、炒ったガーリック、刻みネギかシラントロが盛りつけられます。「クァィティァォ・トゥン」には一般的に麺の調味料が添えられますが、碾いた新鮮なチリペパー、白ビネガーに漬けたガーリックなど酸味のある、ややスパイシーなオレンジ色の調味料も付け加えられます。

「ママ」

「ママ」について書かなければ、タイ麺料理のリストとしては不完全でしょう。ブランド・ネームである「ママ」は、インスタント・ヌードルを意味するようになりました。そして、家庭において最も消費されています。(一般的に言えば、卵とテレビの前で食べる部分が増えています)
数はそう多くはないかも知れませんが、タイの一握りのレストランと屋台の業者は、ディナー用のヌードルに力を入れて用意していて、MSGを一杯に詰めたスパイス・パケット(新鮮なスープ、ミンチした豚肉・魚介類、ボイルした野菜類、好みのスパイシーな調味料など)を提供してくれます。

「スキー」

日本のすき焼きの形態を取り入れた「スキー」は「ウン・セン」を中心に常に変わることなく展開するタイのヌードル・スープ料理の唯一の存在です。
「ウン・セン」の細めの透きとおった麺は緑豆のスターチから作られ、魚介類、豚肉か牛肉それらが練り込まれたタンパク源の混合物が添えられます。そして、白菜、ネギ、空心菜が付け足されます。生卵をスープに入れてかき回して、料理に煮凝り状の見栄えをつけます。
「スキー」には、マイルドで香味の効いたディッピング・ソース(発酵させた豆腐、ビネガー、瓶入りのチリ・ソース、ごま油、ガーリックなどいくつかの素材を組み合わせたもの)が添えられます。

「イエン・ター・フー」

他のヌードル料理を脅かし、そして人気のあるヌードル料理の一つで、とりわけバンコクとタイ中部でその存在が顕著なのは、「イエン・ター・フー」です。その名前は、多分「ヨン・トーフ」(中国客家の「豆腐の詰め合わせ」を意味します)に由来していますが、疑いもなく注目すべき点は、明るいピンク色のスープです。(その色は発酵させた赤色の豆腐を含んだシーズニングからしみ出たもので、現在はケチャップを使ったシーズニングによります)
料理は、米か小麦を原料としたヌードル、前述したように真っ赤で一般的に甘みのある豚肉ベースのスープ、煮詰めてバラバラになった具材(魚肉だんご、あらかじめボイルした魚介類、スライスした魚の練り物、イカ、深炒りした豆腐、豆腐の詰め物、豚肉とエビの深炒りだんご、鶏と豚の血の塊、深炒りしたワンタン・クラッカー、空心菜を含みます)を組み合わせて作られます。
「イエン・ター・フー」には、炒ったガーリックが付け合わされ、一般的に使われる麺料理用の調味料と碾いた新鮮なチリペパー、ビネガーに漬けたガーリックが添えられます。

「トゥア・プー・ウン」

「トゥア・プー・ウン」は、タイで最も知られていないヌードル・スープの一つに違いありません。実際のところ、ミャンマーの国境沿いの北部の州でしか名前が知れていません。
「トゥア・プー・ウン」は、香りのいい、エンドウ豆とターメリックを原料とした粘り気の強い黄色のスープと平べったいライス麺のコンビネーションの産物です。(ミャンマーでは、口伝えに「ビルマの豆腐」と呼ばれています)
この料理は、刻んだシラントロ、チリ油、炒り揚げたガーリック、醤油、深炒りしたビルマ豆腐の小片で盛りつけをします。